本音のカペルスキー2015レビュー
★はじめに

 この記事はカスペルスキー・オンラインショップによるレビューコンテストに投稿したもので、記事中のカペルスキー2015マルチプラットフォームセキュリティは非売品・評価版を無償で提供していただいたものを使っています。予めご了承ください。

カスペルスキー 2015 マルチプラットフォーム セキュリティ 体験版

■ネットの脅威全般からユーザーを保護

 カスペルスキー2015マルチプラットフォームセキュリティ(以下、カペルスキー)は、これひつとでWindows、Mac、Androidに対応したセキュリティツールです。PC向けセキュリティツールといえばまずアンチウィルスソフトが頭に浮かびますが、このカペルスキーはアンチウィルスはもちろん、さらにより広くPCの挙動を監視することで個人情報の流出を防ぐ、いわばインターネットを使う上での脅威全般からユーザーを保護するためのツールとなっています。

 今回、カスペルスキーをインストールしたPCは、OSにWindows7 Ultimate SP1 32bit版とWindowsXP SP3を使用したものです。CPUにIntel Core i5-750、メモリは8GB(32bit OSが認識するのは3.5GB程度)、性能はデスクトップPCとしては中くらいだと思います。

 以下、各機能の紹介と実際に使ってみた上での率直なところを書いていきます。


■ライセンスは1コードでPC5台分

 パッケージ版には冊子のユーザーガイドとWindows版に対応したインストールCDが付いています。起動するとブラウザを通じてインストールファイル群がダウンロードされ、それを実行すればインストールが開始される仕様でした。ユーザーガイドがどうしても欲しいというのでなければ購入即使用できるダウンロード版で何も問題なさそうです。

 見ているだけで進んでいくインストールが終わるとアクティベーションコードの入力を求められます。ようはライセンス認証です。このライセンスはコードごとに与えられます。つまり1年版であれば最初のアクティベーションから365日の使用期限が付き、半年後に同じコードを使って別のPCに新しくインストールしても残り半年分の使用期限が付く、というわけです。

 ただ、上記インストール作業が完了しても定義データベース自体は二ヶ月前のもので、さらに100MBほどのアップデートが必要となったのは気になりました。インストール開始時にインストールファイルに対し最新版か否かのチェックが入るのに、その最新版の中身の定義ファイルが古いままというのはちぐはぐな感じがします。定義ファイルだけでなくインストールファイルの更新もこまめにして欲しいものです。

 ここまでの作業でPCの再起動を求められることはありませんでした。いたって簡単です。


■推奨設定のスキャンは高負荷になる可能性あり


 インストール完了後にまずやることといえばやはりウィルス確認でしょう。せっかく最新のセキュリティツールを導入したのに、PC内部にウィルスを潜ませておくのは気分が悪いです。

 今回、完全スキャン終了まで1時間という予想が表示されたので、スキャン作業は裏に回しブラウザゲームで遊んでいると、20分経ったあたりからPCが重くなりゲームはカクカク、テキストエディタで文字入力することすらままならなくなりました。それもそのはず、タスクマネージャーはCPU使用率100%近くを示し、メモリ使用量も上限近くに来ていました。

スキャン設定

 メモリについてはゲームを起動していたこともあり仕方ないにしても、たかがスキャンでここまでCPU使用率が上がってしまうのは評価できません。完全スキャンの設定からセキュリティレベルを下げることで高負荷状態は解消されたものの、そもそもいかなる設定であれ、セキュリティツールの動作がユーザーの作業を阻害するようでは本末転倒です。ここはシステムとして一考の余地があります。一方で、簡易スキャンについてはなんの問題もなく、時間もかからずストレスなく終りました。

 完全にしろ簡易にしろ漠然と手動で行うスキャンはあくまで確認のためにするもので、緊急性は高くありません。したがって、高負荷をかけたままスキャンし続ける意味はないと言えます。この問題に対しては設定でどうこうするのではなく、カスペルスキーが自動で負荷を下げるよう動いて欲しかった、というのが本音です。極端な話、高負荷時には完全停止してくれてかまわないのです。スキャンをやめたからといってセキュリティが大きく低下するわけではないのですから。


■これが本命か!?"保護者による管理"機能

 アンチウィルス機能と双璧をなす管理機能。ようするに管理者の立場からPCに対して具体的に使用制限をつけることでユーザーに安易な行動をとらせない、それによってセキュリティを確保しようという機能です。PCの使用時間制限や実行を許さないプログラムの指定、登録したキーワードが存在するメール送信やフォーム投稿を許可しない等々、幅広い設定が可能となっています。

保護者による管理

 実際に送信禁止ワードを指定して、そのワードを含んだメールを送信してみると見事ブロックされ、送信は停止されました。単純明快でわかりやすく効果も高いです。

 この機能は第三者に対する制限を想定しているようですが、使用者自らの判断ミスからの情報流出を防ぐのにも役立つと思われます。なかなか使えるという印象を持ちました。

 欲を言えば登録すべきキーワードの例示列挙、あるいはひな型がもう少し充実していればなお良しでした。例示されているクレジットカード情報まわりだけでなく、例えば各種IDやパスワードなども保護すべき情報です。その例示がないのは不自然でした。これを登録すると実際のログインを妨げてしまうというのであれば、それこそログインかそれ以外かを判別するところまで機能を高めて欲しいです。


■ネット決済保護は機能せず、評価不能


 これは任意に登録したサイトにアクセスする際に、その安全性を確実なものとした上でカスペルスキーがそのアクセス許可だすという機能です。しかし実際に金融機関サイトを登録して使ってみると"HTTPS接続用の証明書が無効"と表示され、どうしてもアクセス許可が下りませんでした。(登録していないgoogleへのアクセスも証明書の問題で禁止されてしまいました)

 公式サイトのサポートを確認してみると似たような事例の項目はあるものの、別のブラウザを使えという安直な解決策が提示されているだけ。しかしそれでは解決できませんでした。(Firefox、IE、Chromeで確認)
参考:http://support.kaspersky.co.jp/11107

接続用証明書無効

 公式サイトのフォーラムにまったく同じ問題についてのスレッドがあり、サポートマスコットであるグリーンベアの中の人が解決策を提示してはいるものの、やはりこれでも解決できませんでした。(ただし、証明書の手動インポートでgoogleへのアクセスだけは上手くいくようになりました)
参考:http://forum.kaspersky.com/index.php?showtopic=307599

 Windows XPにインストールしたカスペルスキーも同じ状態、今回のレビューを書くにあたりこのネット決済保護は一度も正常に機能させることができませんでした。

 フォーラムのやり取りから、少なくとも10月中旬にはこの問題についてカペルスキー側も認識を持ったはずなので、12月現在、公式サイトのサポートでこの問題に対処する動きが見られないのは鈍いと言わざるを得ません。

 なお当然ですが、ネット決済保護を使わなければ当該サイトすべてに問題なくアクセスできました。


■リスクを理解した上であればXPでも使える

 今回のカスペルスキーはPC5台までのライセンス認証を受けられるので、せっかくなので仮想PC側のWindowsXP(以下XP)にもインストールしてみました。仮想PCに割り当てたメモリは1GB、CPUは1コアながら、単に常駐させている分には重くなることもなく普通に使える感じです。

 XPはすでにサポートが切れているOSです。しかしXPでできることに不満はなく、いまだ使い続けている人は少なくないと思われます。そんな事情を鑑みてか、カスペルスキーも正式にXP対応をうたっています。とはいえXPがOSとして抱える不具合をカスペルスキーが修正するわけではありません。あくまでアンチウィルス、管理者による保護、そしてネット決済保護それぞれの機能を付与するだけ。XPで使うのであればそこは理解しておく必要があります。それでかまわない、終ったOSの使用に手を貸して欲しいというのであればとても頼りになりそうです。


■まとめ

 PCを使う実際の場面を考えると、セキュリティツールがどれだけ多くのウィルスを検知できるか、あるいはどれだけ高速にウィルスをスキャンできるかはたいして意味を持ちません。もしその瑣末な差すらウィルスの脅威にとって重要だと感じるのであれば、まずPCの使い方を見直すのが先でしょう。

 今現在のインターネットの脅威は、フィッシングに代表される詐欺もしくは詐欺的手法にかかりユーザー自身の手によって個人情報の流出を許してしまうところに大きくあり、セキュリティツールに期待されるのはいかにそれを防ぐか、どれだけそれを防げるのかにあると思います。その観点からするとカスペルスキーの"保護者による管理"機能は非常に良いところにあります。

 ただ先にも指摘しましたが、保護条件をユーザーに大きく委ねているため、インストール直後の実用性はあまり高くないのが惜しいです。しかしWindows標準の保護機能、ユーザーアカウント制御(いわゆるUAC)のように、何かするたびにいちいち確認を取らせるのでは逆に実用性がなくなりますし、そのさじ加減が難しいのも確かです。保護者による管理の方向性は間違いなく正しいので、もう少し初期設定が練られさえすればさらに良いものになりそうです。

 加えて、この機能は保護者という第三者的なものではなく、むしろ設定した本人を保護するためにも有用だと考えられるので、保護対象を狭める印象のある"保護者による管理"よりも他にふさわしい名称をつけた方が機能のアピールになるのではないかと思います。

 ネット決済保護については、もし問題の切り分けができないのであればこの機能は外すべきだと思います。ユーザーが無理に使おうとして、対象サイトを例外指定してしまっては無意味どころか有害です。セキュリティを担うカスペルスキーはそれを許すべきではありません。その意味からも、より積極的な行動を期待したいところです。

より詳しいカスペルスキー 2015 マルチプラットフォーム セキュリティの製品情報はこちら
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